歴史・公民教科書を考えるつどい


   歴史・公民教科書を考えるつどい
                        05.6.9  18:00  教育会館
主催:憲法・教育基本法の理念の実現をめざす石川県民の会
 (金沢地区の「考えるつどい」を兼ねる)


【開会あいさつ】(亀渕卓 共同代表)
・昨年、教育基本法改悪法案の論議があった。実行委員会がたちあがった。真宗大谷派の一員として実行委員会に参加することに。
・集会や新聞の全面意見広告にとりくんだ。法案をとめる一助になったと思う。
・憲法・教育基本法の理念の実現をめざす石川県民の会」として運動を継続することに。戦争を肯定し賛美するなかに正しく人は育つだろうか。仏教の理念からしても、過去にふたをし、自分の思いをとおしていくようなことがあってはならない。これでは敬いあうような人間は育たない。

【講演会】「教科書問題について  〜子どもの将来のために考えよう〜」
(上杉聰さん 関西大学文学部講師・日本の戦争責任資料センター事務局長)

・小さい頃、両親が開拓農家に入植。つらい思いをした。貧しさや周りからの差別のなか、「あの戦争がなかったらこんな思いをしなくてもよかった」という親の言葉がわたしにとっての平和教育。母は「欲で戦争に負けた」と。「台湾までもいろいろなものをとりにいこうとしたから」と。「戦争とはよその国をとることなんだ」と感じた。被害だけで戦争をとらえることはできないと。そしてアジアの被害者の声を聞く運動をしてきた。つくる会とけんかをしなければならなかったし、小林よしのりともバトルをすることに。
・家永裁判が発端。思想信条への検閲にあたるとされたことで、文科省は自分たちのおもうような教科書がつくれなくなった。さらに、近隣諸国条項。被害をうけた国に配慮すべきと。従軍慰安婦の記述が全部の教科書に。それに危機感をもった人たちが作ったのが「つくる会」の教科書。それに関するいろいろな攻防のなか、いくつかの教科書会社も影響をうけることに。つぶれたところ、漁夫の利を得たところ。つくる会とのバランスをねらって全体に右に右にと。従軍慰安婦の記述がほとんどの教科書から消えた。抵抗した日本書籍新社は従軍慰安婦について資料的にやっとのせた。
・検定新制中に、白表紙本を配ったことが問題になり、いっさいできないことに。しかし、「つくる会」は大量に配っているらしい。3度も指導されたのに。しかも何のペナルティもない。石川県でも配っている。文科省は黙認?
・竹島の記述について。文科省は「対立している」から「韓国が不法占拠している竹島」と修正することを強制し、しかたなく扶桑社が変えた。と新聞に。このことを通じ、他社も次回は記述をいれなければならなくなる。
・今回は非常にまともな教科書らしく見える。採択時にひっかかりそうな記述を削って作成。10%採択を目標としているが、採択されてもおかしくないものになっている。そこまで努力をしている。よくみないとどこが問題かわからないものにしている。しかし、本質的な悪質さは変わっていない。

<歴史教科書について>
1皇国史観

2天皇中心の家族的国家観   
・「武士は究極的には天皇に仕える立場」

3女性、民衆の蔑視
・縄文時代から性的役割分担があるという記述。
・女性の地位が相当高かったことは書かれていない。男性が権力をにぎることが重要、というような立場。天皇家は男の血筋でつながっていることを主張したい。
・女性の登場が少ない。
・民衆が立ちあがる姿は描かない。   ・部落問題記述も少ない。

4他国への優越的支配意識
(優越感)
・「世界でもっとも豊かな国」「科学技術は劣らない」「世界を変えた日本の勝利」・・・
・この教科書を書いた人は、大人になりきっていない。
(自己中心性)
・韓国を植民地支配したことが正当なことのように書かれている。日本の安全のために、と。
・視点を自分のところから一歩もずらさない。この教科書は教育をしていない。自分中心で、相手を応援しない「愛国心」
・満州事変もおこさざるをえなかった、という記述。自分が被害者としての論理の展開。
(アジアへの蔑視)
・「“天皇の万世一系”が日本が世界にすぐれるゆえん」
(アジア支配の肯定)
・日本が武力的に進出した結果、中国の文化が伝わった。
・天皇を歴史のなかで浮かび上がらせたい。天皇のために加害をした事実は隠したい。
(好戦性)
・「完璧な勝利」「日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」
(加害事実の隠蔽)
・「富国」だけで「強兵」を隠している。  
・原爆の被害を書かない。


<公民教科書について>
・グラビアの構成・・・自衛隊、北方領土、竹島
・「世界最古の日本国憲法」
・こんな教科書が教科書と言えるか


・こんな教科書が何をめざしているのか。彼らは「戦争ができる子ども」たちの心を育てたい。「義性はしかたがない」と考える子どもを。いかに内面から子どもたちを造りかえようとしているか。
・日教組のスローガン。
・10%採択の危険性をもっている教科書である。東京、愛媛、熊本、鹿児島、和歌山があぶない。石川でも白表紙本が配られている。一人の子どもにも渡したくない。子どもたちに銃をもたせてはいけない。

【質疑・意見交換】
・家永教科書裁判とのからみで、なぜこういう教科書が許されるのか。
→石川でやってほしい。不法行為をする教科書を採択しないように。
・高校の教科書はどうなっていくのか。
・教科書をみてきた。よい教科書に意見を出していきたい。
・地域や保護者の人たちに話をしていきたい。
・富山、福井の炎が見えた。東京大空襲でも多くの犠牲者がいる。靖国神社だけが大切なのはおかしい。

【今後のとりくみについて】
・地区集会   ・教科書展示に意見反映 

【閉会あいさつ】(川淵尚志 県教組委員長)
・22団体で県民の会を構成している。運動はひろまっている。
・伝える努力がわれわれに欠けていた。各地区での学習会につなげていこう。
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