強行採決への抗議声明(県民の会)


 参議院での教育基本法「政府法案」の強行採決に対する抗議声明 (憲法・教育基本法の理念の実現をめざす石川県民の会)
06.12.15


昨日、政府・与党は、参議院「教育基本法に関する特別委員会」で教育基本法「政府法案」を強行採決した。憲法に準ずる重要な法律を十分に審議を尽くさず、強行採決したことに断固抗議する。

 教育基本法は、「教育の憲法」であり、すべての教育法規の方向性を定めている重要な法律である。その法律の全部を改正するというのであれば、時間をかけて慎重に審議をすべきであり、条文ごとの審議は欠かせない。そして、国民的合意形成が何よりも重要である。

 政府は衆議院で100時間、参議院で80時間を超える審議を行ったとしているが、「なぜ、今、改正が必要なのか」何も明らかにせず、また、3年にもおよぶ与党協議会での政府法案上程までの審議内容も未だ明らかにされておらず、国民への説明責任をまったく果たしていない。さらに国民の多くが「今の国会にこだわらず、十分な審議をつくすべき」と慎重審議を求めている。

 国民の声を聞く場であるタウンミーティングでは、「やらせ質問」による世論操作など問題が多発した。しかし、「タウンミーティング調査委員会」の調査結果にもその原因と責任は明らかにされていない。このように国民の理解が得られたという前提がくずれた中で、「まず成立ありき」と数の力で強行採決したことは暴挙であり、断じて許されない。

 教育基本法の改正によって、いじめによる自死など子どもたちをめぐる諸課題は解決するのかという国民の疑問には何ら答えていない。教育制度や教育政策の検証を十分に行うことなく、教育基本法を変えても問題は解決しない。むしろ押しつけの愛国心や規範意識、競争主義の強化で子どもたちはもっと閉じこめられ、疎外されていくことが明らかである。

 「政府法案」は教育の目的を根本から転換させ、「国民のための教育」から「国家のための教育」へと方向を変えている。さらには、憲法改悪へつながるものであると危惧する。

 わたしたちは、子どもの人権を保障し、平和、民主主義を守るため、今ある憲法・教育基本法の理念が生かされるようにと願ってきた。子どもたちの今と未来に責任を感じるからこそ、できるかぎりの行動をしてきた。

 わたしたちは「政府法案」の強行採決に断固抗議するとともに、参議院本会議で可決・成立させるという暴挙を避け、直ちに審議をやり直すよう強く求める。

                                  2006年12月15日
       憲法・教育基本法の理念の実現をめざす石川県民の会


          
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